読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

見たものを記録しておきたいアレ

ひっきーが本とかアニメとか映画とかドラマとか、見たもの聞いたものについて好き勝手に書くよ。

映画「苦役列車」の感想というか胸の内

苦役列車(くえきれっしゃ)

 

 

苦役列車

苦役列車

 

 

1986年。北町貫多、19歳、小5の時、父親が犯した性犯罪により一家離散。中学校卒業以来、日雇い人足仕事で、その日暮らしを続けている。楽しみは読書、稼いだ金はほぼ酒と風俗に費やす。ある日、移動バスで専門学校生の日下部正二に声をかけられ、初めて友達といえるかもしれない存在になる。(以下略)

苦役列車 - Wikipedia

 

山下監督の作品に軽く触れようと思っただけだった

その映画が心に響く作品になるか、すぐに忘れてしまう作品になるのかは、やはり登場人物への感情移入の有無は大きなポイントと言えるだろう。
最近山田孝之のカンヌにぬるーくハマっていることから、本格的に山下監督作品を見てみようと急に思い立ったのだ。(赤羽しか見てなかった)


そこで「もらとりあむタマ子」の次にチャレンジしたのが、この映画「苦役列車」。
タイトルからは内容が想像つかず、ざっくりとあらすじを読む限りでは最底辺な生活を送る主人公が、高良健吾前田敦子のキャラクターと出会って更生していくような青春?ストーリーだろうと高を括っていた。(タマ子で油断していたのもある)

 

 

もらとりあむタマ子

もらとりあむタマ子

 

 

なんかもう胃がイタカッタヨー

 

しかし、映画のフタを開けてみれば、とにかく2時間胃がキリキリと締め付けられる結果となった。
個人的に日本映画の定番と言えば、前半1時間は落ちぶれている主人公がさらにどん底まで落とされる→その後覚醒して後半30分~1時間かけてハッピーエンドへと走っていくような構成だと(ちょー偏見で)思っている。


だがこの作品は映画が終わる3分前まで主人公は主人公のまま腐ったクズ人間だった。
見ている最中何度も吐き気をもよおした私は、とにかく早く映画がエンディングに向かって欲しくて残り時間が気になって仕方がなかった。
つまらないから残り時間が気になるのではない、主人公がどんどん落ちていく姿を見続けると精神がおかしくなりそうだったから。

私もごくごく最近まで、この主人公のような考え方でコンプレックスの塊人間だった。
自分が学がないこと、社会経験が薄いこと、友人がいないこと。
それは冷静に考えれば自分の行動一つで変えられたかもしれないのに、泥沼にどっぷりはまっている人間はどうやってもワンパターンな思考しかできない。
自分が悪いんじゃない世間が悪いのだと思い込み、大して才能もないのにここは自分がいる場所じゃない、なんてとにかく被害者志向の塊だった。
リアルな人間というのは所詮こんなもので、映画のようにいきなり覚醒→人並み以上の能力を発揮して幸せに暮らしましたとさ、なんてケースはほとんどないのだろうと改めて痛感した。

 

マキタスポーツの歌のうまさが辛い

 

特につらかったのがマキタスポーツが演じる、歌がうまいおじさんの姿だ。
どれだけ実力があったとしても、結局誰かに評価されて日の目を見なければその才能は世間に知られることは一生ない。
才能さえあればトップになれる、自分は人と違うと思っている人間も多いだろうが、このおじさんの存在は才能があっても評価されるとは限らないことを痛烈に体現している。
最終的には森山未來マキタスポーツのキャラクターに自分を重ねて嫌気がさし、高良健吾前田敦子リア充っぷりに別の意味で嫌気がさした。

そしてなんといっても主人公、森山未來の演技力は本当にすばらしい。
すばらしいの一言で表現するのが申し訳ないくらい、心から憎くてどうしてやろうかと思った主人公は初めてだった。
森山未來だと頭ではわかっていても、なんて憎たらしい主人公なんだろうと見ていてイライラさせられた。
本気で「こいつもうだめだわ」と思わせるほどの、だらしなさと不潔さ、女をとことん性欲の対象としか見ないすがすがしいまでのサルっぷり。
前田敦子の頭突きが唯一、この映画の中でのカタルシスだったと言っても過言ではないだろう。
欲望のままに生きる姿を表現しきった森山未來の演技力は、恐ろしさすら覚えるものだった。
それだけでも大きな収穫だったと心から思うし、映画にここまで腹の中に秘めた感情をごちゃまぜにかき混ぜられたのは初めての経験だった。

 

西村賢太作品をとにかく読みたくなった

 

 

苦役列車 (新潮文庫)

苦役列車 (新潮文庫)

 

 

自分ではそれなりに本を読んできたつもりだが、西村賢太芥川賞を受賞した作家として知っていたが作品は未読だった。
これまで未読で過ごしていたことを後悔したし、私小説の魅力に気づけた作品となった。

まあ映画と原作は別物だという意見はたくさん見たし、作者自身が酷評したのも知っている。

それでも、私はこの映画が好きだと言える。

 

興奮して支離滅裂な文章を書いたが、なんかこうめちゃくちゃでもどこかに吐き出さないと眠れなかった。
ここ最近夜は仕事をちょろっとして、好きな本や映画を見て過ごす日々を送ってきたが、後悔しないよう時間を大切にしようと思えた。
一日一日を大切に、そして今までのぬるま湯生活とはオサラバするべく、まずは明日図書館に行って西村作品を借りてこようと思う。
新品で買える余裕がない自分がイヤになるー。